新リース会計基準のポイント:経理担当者必見の完全ガイド

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2023年度から適用が始まる「新リース会計基準」は、企業の財務諸表と経理実務に大きな変革をもたらします。本記事では、この新しい会計基準の概要から、従来の日本基準との決定的な違い、そして国際財務報告基準であるIFRS16号との関連性までを徹底解説。特に、これまでオフバランス処理されてきたオペレーティングリース契約を含む「すべてのリースが原則として貸借対照表にオンバランス化される」という最も重要な変更点と、それが財務諸表に与える具体的なインパクトを明確にします。本記事を読むことで、経理担当者として新基準へのスムーズな移行を実現し、適切な会計処理と開示を行うための実践的な知識と具体的な対応ステップを習得できます。貴社のリース資産・負債の現状把握から業務プロセスの見直し、固定資産管理システムの導入検討まで、新基準対応に必要なすべてがここにあります。

目次

新リース会計基準とは何か

新リース会計基準の概要と従来との違い 従来のリース会計基準 ファイナンスリース オンバランス(B/S計上) オペレーティングリース オフバランス(計上なし) ※実態が見えにくい課題 2026年4月強制適用 IFRS16号と整合 新リース会計基準 原則としてすべてのリース オンバランス化 貸借対照表(B/S)に計上 資産:使用権資産 負債:リース負債 財務状況の透明性向上!

新リース会計基準の概要と目的

新リース会計基準は、原則としてすべてのリース契約を企業の貸借対照表に計上(オンバランス化)することを求める会計基準です。これにより、これまでオフバランス取引として処理されてきたオペレーティングリースについても、資産と負債として認識されることになります。この基準は、2026年4月1日以降に開始する事業年度から強制適用される予定です。

この基準の主な目的は、企業の財務状況をより正確に反映させ、財務諸表の透明性を向上させることにあります。従来の会計基準では、オペレーティングリースが貸借対照表に計上されないため、企業の負債の実態が見えにくいという課題がありました。新基準は、リース契約によって企業が保有する「使用権資産」と、それに対応する「リース負債」を明確にすることで、投資家や債権者が企業の財政状態を適切に評価できるようにすることを目指しています。また、国際的な会計基準であるIFRS16号との整合性を高めることも重要な目的の一つです。

従来のリース会計基準との違い

新リース会計基準は、特にオペレーティングリースの会計処理において、従来の基準と大きく異なります。従来の企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」では、リース取引は「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の2種類に分類され、それぞれ異なる会計処理が適用されていました。

項目 従来のリース会計基準(原則) 新リース会計基準(原則)
対象となるリース ファイナンスリース、オペレーティングリース ファイナンスリース、オペレーティングリース
会計処理の区分 ファイナンスリース、オペレーティングリース 原則として区分なし(すべてオンバランス)
貸借対照表への影響 ファイナンスリース:資産(リース資産)、負債(リース債務)
オペレーティングリース:オフバランス(原則として計上なし)
原則としてすべてのリース:
資産(使用権資産)、負債(リース負債)
損益計算書への影響 ファイナンスリース:減価償却費、支払利息
オペレーティングリース:賃借料(費用処理)
原則としてすべてのリース:
減価償却費、支払利息
企業の財務状況の表示 オペレーティングリースのオフバランス取引により、実態と異なる場合があった リースに係る資産と負債が計上され、財務状況の透明性が向上

最も大きな違いは、オペレーティングリースが貸借対照表に計上されることです。これにより、企業の負債総額が増加し、自己資本比率などの財務指標に影響を与える可能性があります。

IFRS16号との関連性

日本の新リース会計基準は、国際財務報告基準(IFRS)におけるIFRS16号「リース」の考え方を大きく取り入れています。IFRS16号は、原則としてすべてのリース契約をオンバランス化するというアプローチを採用しており、日本の新基準もこれに準拠することで、国際的な会計基準との整合性を図っています。

IFRS16号と日本の新リース会計基準は、基本的な原則において共通していますが、一部の具体的な適用や免除規定において相違点が存在します。例えば、日本の新基準では、特定の要件を満たす短期リースや少額リースについて、簡便な会計処理を認める規定が設けられている場合があります。これは、国内の実務慣行や企業規模に応じた負担軽減を考慮したものです。しかし、基本的なオンバランス化の原則は共通しており、国際的に比較可能な財務諸表の作成を促進するという点で、両基準は密接に関連しています。

新リース会計基準の適用時期と対象企業

新リース会計基準の適用時期と対象企業 適用時期のタイムライン 2019年1月〜 IFRS第16号 強制適用 現在 〜 2026年3月 日本基準 (第13号) 早期適用可能期間 2026年4月〜 日本基準 (第13号) 強制適用 対象企業とリースの範囲 IFRS適用企業 規模・上場有無に関わらず 全リース契約が対象 日本基準適用企業 上場企業・連結子会社 原則オンバランス処理 中小企業 直接的な影響は限定的 簡便的な会計処理(オンバランス免除)が認められる例外 短期リース:リース期間が12ヶ月以内 少額リース:重要性の低い金額(例: 5,000米ドル等)

強制適用となる時期

新リース会計基準の適用時期は、企業が採用している会計基準によって大きく異なります。IFRS(国際財務報告基準)を適用している企業と、日本基準を適用している企業では、強制適用のタイミングが異なるため、自社の状況を確認することが重要です。

まず、IFRSを適用している企業の場合、すでにIFRS第16号「リース」が導入されています。これは、2019年1月1日以後開始する事業年度から強制適用されており、IFRS適用企業はすでに新しいリース会計基準での処理を実施しています。

一方、日本基準を適用している企業については、企業会計基準委員会(ASBJ)から企業会計基準第13号「リースに関する会計基準」が公表されています。この日本基準における新リース会計基準は、2026年4月1日以後開始する事業年度から強制適用される予定です。この基準は、主に連結財務諸表を作成する企業に適用されますが、個別財務諸表においても連結財務諸表と同様の会計処理が求められることになります。

具体的な適用時期と対象を以下の表にまとめます。

適用会計基準 適用される会計基準の名称 強制適用時期 主な対象財務諸表
IFRS適用企業 IFRS第16号「リース」 2019年1月1日以後開始事業年度 連結財務諸表、個別財務諸表
日本基準適用企業 企業会計基準第13号「リースに関する会計基準」 2026年4月1日以後開始事業年度 主に連結財務諸表(個別財務諸表も実質的に影響)

早期適用の可能性について

日本基準を適用している企業においては、強制適用時期よりも早期に新リース会計基準を適用することが認められています。早期適用は、企業の判断によって選択できるオプションです。

早期適用を選択する企業は、主に以下のようなメリットを考慮します。

  • 新基準への対応準備を前倒しで進め、会計処理やシステム改修のノウハウを蓄積できる
  • 競合他社が早期適用している場合、財務諸表の比較可能性を維持し、投資家への説明責任を果たしやすくなる
  • 新基準導入による財務諸表への影響を早期に把握し、経営戦略や資金調達計画に反映できる

一方で、早期適用には、先行してシステム投資や人員教育が必要となること、あるいは既存の会計処理と新基準の処理を並行して行う期間が発生する可能性などのデメリットも存在します。早期適用を検討する際は、自社の準備状況、業界動向、経営戦略を総合的に考慮し、慎重に判断することが求められます

対象となる企業の範囲

新リース会計基準の適用対象は、基本的にリース契約を有するすべての企業ですが、その影響度合いは企業の規模や上場の有無、適用している会計基準によって異なります。

IFRSを適用している企業は、規模や上場の有無にかかわらず、すべてのリース契約についてIFRS第16号を適用し、原則としてオンバランス処理を行う必要があります

日本基準を適用している企業の場合、企業会計基準第13号の主な適用対象は、連結財務諸表を作成する企業、すなわち上場企業やその子会社などです。これらの企業は、リース契約を原則として貸借対照表に計上することになります。個別財務諸表についても、連結財務諸表と整合性のある会計処理が求められるため、実質的には多くの日本基準適用企業が影響を受けることになります。

中小企業については、現時点では新リース会計基準の強制適用による直接的な影響は限定的と考えられています。しかし、上場企業との取引において、取引先の情報開示要請などにより、リース契約に関する情報の提供が求められる可能性はあります。また、将来的な成長や上場を視野に入れている中小企業は、早期からの情報収集や準備が推奨されます。

なお、すべてのリース契約が詳細なオンバランス処理の対象となるわけではありません。以下の条件を満たすリース契約については、簡便的な会計処理が認められています。

  • 短期リース:リース期間が12ヶ月以内のリース契約。
  • 少額リース:個々のリース資産の価値が重要性の低い金額(例えば、5,000米ドル相当以下など、企業が定める基準)であるリース契約。

これらの簡便処理は、企業の選択によって適用可能であり、事務負担の軽減に繋がります。ただし、適用にあたっては、それぞれの条件を適切に判断し、会計方針として明確に定める必要があります。

新リース会計基準による経理実務への影響

新リース会計基準による財務諸表へのインパクト すべてのリースがオンバランス化 貸借対照表 (B/S) 資産・負債の増加 ・使用権資産 (資産) ・リース負債 (負債) 財務指標の悪化 ・自己資本比率 低下 ・D/Eレシオ 悪化 損益計算書 (P/L) 費用の性質変化 旧: 賃借料 (一括) 新: 減価償却費 + 支払利息 利益への影響 ・初期は営業利益 減少 ・EBITDA 増加 キャッシュフロー (C/F) 営業活動 C/F ・元本返済分が外れるため 改善傾向 財務活動 C/F ・リース負債の元本返済 悪化傾向 企業の「実態をより正確に反映」するが、「従来の財務指標は悪化」する側面に注意

新リース会計基準は、企業の財務報告に広範囲かつ重大な影響を及ぼします。特に、これまでオフバランス処理されてきたオペレーティングリース契約が対象となるため、経理実務や財務諸表の様相が大きく変化することを理解しておく必要があります。

すべてのリースがオンバランス化へ

新リース会計基準の最も大きな変更点は、原則としてすべてのリース契約を貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が求められることです。これにより、従来のオペレーティングリース契約も、資産として「使用権資産」を、負債として「リース負債」を計上することになります。

使用権資産は、リース期間にわたってリース物件を使用する権利を表す資産であり、リース負債は、将来のリース料の支払い義務を表す負債です。これらの計上により、企業の実態に即した財務状況がより明確に開示されることになります。

具体的な会計処理としては、リース開始日にリース負債を認識し、その金額を使用権資産として計上します。リース負債は、将来のリース料支払いを割引計算した現在価値で測定され、その後は利息法により利息費用を認識しながら償却していきます。使用権資産は、原則として定額法により減価償却費を計上することになります。

オペレーティングリース契約への影響

旧リース会計基準では、オペレーティングリース契約は賃貸借取引として処理され、リース料は原則として期間費用(賃借料など)として損益計算書(P/L)に計上され、貸借対照表には計上されませんでした。しかし、新基準ではこれが大きく変わります。

新基準適用後は、オペレーティングリース契約もファイナンスリースと同様に、使用権資産とリース負債を計上します。これにより、損益計算書における費用の計上方法や、キャッシュフロー計算書におけるキャッシュフローの分類にも変化が生じます。

具体的には、損益計算書においては、従来の「賃借料」として一括計上されていたリース料が、「減価償却費」(使用権資産の償却)と「支払利息」(リース負債の利息費用)に分けて計上されることになります。この結果、リース期間の初期には、減価償却費と支払利息の合計額が旧基準の賃借料よりも大きくなる傾向があり、利益が圧縮される可能性があります。

キャッシュフロー計算書においては、旧基準で営業活動によるキャッシュフローに計上されていたオペレーティングリース料の支払いが、新基準では使用権資産の元本返済部分が財務活動によるキャッシュフローに、利息部分が営業活動または財務活動によるキャッシュフローに計上されることになります。これにより、営業活動によるキャッシュフローが改善する一方で、財務活動によるキャッシュフローが悪化する傾向が見られます。

これらの変化を以下の表で比較します。

項目 旧リース会計基準(オペレーティングリース) 新リース会計基準(すべてのリース)
貸借対照表(B/S) 原則として計上なし(オフバランス) 使用権資産リース負債を計上(オンバランス)
損益計算書(P/L) 賃借料などとして一括費用計上 減価償却費(使用権資産)と支払利息(リース負債)に分けて費用計上
キャッシュフロー計算書(C/F) リース料の支払いは営業活動によるキャッシュフロー リース負債の元本返済は財務活動によるキャッシュフロー、利息は営業活動または財務活動によるキャッシュフロー

財務諸表へのインパクト

新リース会計基準の適用は、企業の主要な財務諸表に大きなインパクトを与え、それに伴い財務指標や企業評価にも影響を及ぼします。経理担当者はこれらの変化を正確に理解し、関係者への説明責任を果たす必要があります。

貸借対照表(B/S)へのインパクト

  • 資産の増加:使用権資産が計上されるため、総資産が増加します。
  • 負債の増加:リース負債が計上されるため、総負債が増加します。
  • 自己資本比率の低下:総資産と総負債が増加することで、自己資本比率が低下する傾向にあります。
  • D/Eレシオ(負債資本倍率)の悪化:負債が増加するため、D/Eレシオが悪化します。

これらの変化は、企業の財務健全性を示す指標に直接影響を与えるため、金融機関からの借入条件や信用格付けに影響を及ぼす可能性があります。

損益計算書(P/L)へのインパクト

  • 費用の性質の変化:従来の賃借料が減価償却費と支払利息に分かれることで、費用の性質が変化します。
  • 利益への影響:リース期間の初期は、減価償却費と支払利息の合計が旧基準の賃借料よりも大きくなるため、営業利益や経常利益が減少する傾向にあります。リース期間が進むにつれて、支払利息が減少するため、費用の合計額は減少していきます。
  • EBITDAへの影響:オペレーティングリース料がEBITDA算出時の調整項目(賃借料)から、減価償却費と支払利息に分かれることで、EBITDAは増加する傾向にあります。これは、EBITDAが減価償却費と支払利息控除前の利益を指すためです。

P/Lの変化は、企業の収益性を示す指標に影響を与え、投資家やアナリストの評価に影響を与える可能性があります。

キャッシュフロー計算書(C/F)へのインパクト

  • 営業活動によるキャッシュフローの改善:オペレーティングリース料の支払いのうち、元本部分が財務活動に分類されるため、営業活動によるキャッシュフローは改善します。
  • 財務活動によるキャッシュフローの悪化:リース負債の元本返済が財務活動によるキャッシュフローに計上されるため、財務活動によるキャッシュフローは悪化します。

C/Fの変化は、企業の資金創出力や資金使途に対する見方を変化させるため、資金繰り計画や投資判断に影響を及ぼすことがあります。

これらの財務諸表へのインパクトを総合的に見ると、新リース会計基準は企業の実態をより正確に反映させる一方で、従来の財務指標を悪化させる側面も持ち合わせています。そのため、企業は自社の財務状況がどのように変化するかを事前にシミュレーションし、必要に応じて適切な情報開示や説明を行う準備が求められます。

新リース会計基準に向けた対応ステップ

新リース会計基準への移行は、単なる会計処理の変更にとどまらず、企業全体の業務プロセスやシステムに大きな影響を与えます。スムーズな移行を実現するためには、計画的かつ段階的な対応が不可欠です。ここでは、具体的な対応ステップを解説します。

現状のリース契約の洗い出し

新リース会計基準への対応における最初の、そして最も重要なステップは、企業が締結している全てのリース契約を正確に把握することです。これは、新基準適用後の財務諸表への影響を適切に評価するための基礎となります。

洗い出しの目的と対象

  • 目的: 企業が保有する全てのリース契約を特定し、その内容を詳細に把握することで、新基準適用による使用権資産およびリース負債の計上額、損益への影響、そして開示情報に必要なデータを収集します。

  • 対象: 賃貸借契約、サービス契約、保守契約など、名称にかかわらず「リース要素」を含む可能性のある全ての契約が対象となります。特に、複合契約(リースとサービスが一体となった契約)や、契約書にリースという文言がない場合でも実質的にリースに該当する契約を見落とさないよう注意が必要です。

洗い出すべき主な情報

洗い出しにあたっては、以下の情報を網羅的に収集することが推奨されます。

カテゴリ 主な項目 確認のポイント
契約基本情報 契約番号、契約開始日、契約終了日 リース期間の特定に不可欠です。
リース物件(資産)の種類、数量、所在地 使用権資産の特定と管理に必要です。
貸手(リース会社)の情報 契約に関する問い合わせや確認に備えます。
契約形態(ファイナンスリース、オペレーティングリースなど) 従来の区分けも参考にしつつ、新基準での再評価が必要です。
リース料に関する情報 リース料の支払条件(月額、年額、支払期日) リース負債の現在価値計算の基礎となります。
変動リース料に関する条項 新基準では原則としてリース負債に含めませんが、注意が必要です。
残価保証の有無と金額 リース負債の算定に影響を与える可能性があります。
購入オプション、更新オプションの有無と条件 リース期間の決定に影響します。
契約条件の詳細 解約不能期間 リース期間の決定において重要な要素です。
契約変更に関する条項 将来的な契約変更時の会計処理に影響します。
リース開始日におけるインクリメンタル・ボローイング・レート(IBR)の算定に必要な情報 もし契約に明示された利率がない場合、この情報が必要になります。

洗い出しの課題と対応策

多くの企業では、リース契約書が各部署に散在していたり、契約内容が複雑であったりするため、洗い出し作業は容易ではありません。そのため、全社的な協力体制の構築が不可欠です。具体的には、経理部門が主導し、各事業部門や法務部門、総務部門などから情報を集約する体制を整えましょう。また、専門家(公認会計士など)の知見を借りることも有効な手段です。

業務プロセスの見直し

新リース会計基準の適用により、リース契約の会計処理が大きく変わるため、既存の経理業務プロセス全体の見直しが必要となります。特に、オンバランス化に伴う新たな勘定科目の設定や、継続的な評価・管理の仕組みを構築することが重要です。

影響を受ける主な業務プロセス

新基準は、以下の経理業務プロセスに影響を与えます。

  • リース契約情報の管理: 契約開始日、リース期間、リース料、購入オプションなど、リース契約に関する詳細な情報を一元的に管理する仕組みが必要です。

  • 当初認識時の会計処理: リース開始日に、使用権資産とリース負債を認識し、計上するプロセスを確立します。

  • 期中の会計処理:

    • 減価償却費の計上: 使用権資産に対して定額法などで減価償却費を計上するプロセス。

    • リース負債の利息費用計上: リース負債に対して実効金利法などを用いて利息費用を計上し、リース負債残高を減少させるプロセス。

    • リース料の支払い処理: 支払ったリース料をリース負債の元本返済部分と利息費用部分に按分して処理するプロセス。

  • 契約変更時の会計処理: リース期間の延長・短縮、リース料の変更、リース物件の追加・返還など、契約変更が発生した場合の会計処理プロセスを明確にします。

  • 減損会計: 使用権資産についても、他の固定資産と同様に減損の兆候を識別し、必要に応じて減損処理を行うプロセスを検討します。

  • キャッシュフロー計算書への影響: リース料の支払いが、営業活動によるキャッシュフローから財務活動によるキャッシュフローへ区分変更されるため、その分類プロセスを確立します。

  • 開示情報の作成: 財務諸表の注記情報として、リースに関する詳細な情報を開示するための情報収集と作成プロセスを整備します。

業務フロー見直しのポイント

  • 部署間の連携強化: リース契約は営業部門、総務部門、法務部門など様々な部署が関与するため、経理部門が主導し、関連部署との連携を密にし、情報共有の仕組みを構築することが重要です。

  • マニュアルの作成: 新しい会計処理手順や業務フローを明確に記載したマニュアルを作成し、担当者全員が理解できるように周知徹底を図ります。

  • システムとの連携: 後述する固定資産管理システムなど、関連システムとの連携を考慮した業務フローを設計します。

  • 内部統制の強化: 新たな会計処理に伴うリスクを評価し、適切な内部統制を構築することで、誤謬や不正を防止します。

プロシップなどの固定資産管理システムの導入検討

新リース会計基準への対応は、リース契約数の多い企業や複雑なリース契約を多数抱える企業にとって、システムによる効率化が不可欠です。手作業での対応は、計算ミスや管理の煩雑さ、継続的なメンテナンスの困難さといったリスクを伴います。そのため、「プロシップ」などの固定資産管理システムやリース会計対応ソリューションの導入を検討することが強く推奨されます。

システム導入の必要性

  • 計算の複雑性への対応: リース負債の現在価値計算、利息費用と減価償却費の継続的な計算、契約変更時の再測定など、複雑な計算を正確かつ自動的に行います。

  • 情報の一元管理: 多数のリース契約に関する情報を一元的に管理し、必要な時にいつでも参照・分析できるようにします。

  • 業務効率の向上: 手作業による仕訳作成や開示情報作成の手間を削減し、経理部門の負担を軽減します。

  • 正確性と信頼性の確保: 人為的なミスを減らし、会計処理の正確性と財務報告の信頼性を高めます。

  • 監査対応の円滑化: 監査法人からの要求に対し、必要なデータを迅速に提供できる体制を構築します。

システムに求められる主な機能

リース会計対応システムを選定する際には、以下の機能が備わっているかを確認しましょう。

機能カテゴリ 具体的な機能 ポイント
契約情報管理 リース契約情報の登録・管理 契約期間、リース料、購入オプション、残価保証など詳細な情報が登録できること。
リース開始日判定、リース期間判定 新基準に沿ったリース期間の自動判定機能。
インクリメンタル・ボローイング・レート(IBR)の管理 適切な利率設定と管理ができること。
会計処理機能 使用権資産・リース負債の自動計算 当初認識、減価償却費、利息費用を自動で計算し、仕訳を生成できること。
契約変更時の再測定機能 リース期間変更やリース料変更時に自動で再測定し、会計処理を反映できること。
減損会計への対応 使用権資産の減損処理に対応していること。
報告・分析機能 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)への連携 会計システムとの連携がスムーズであること。
開示情報レポートの出力 新基準で求められる注記情報を自動で出力できること。
その他 複数会計基準(IFRS、日本基準)への対応 国際展開企業にとっては特に重要です。
既存システム(会計システム、ERP)との連携 データ連携の容易さや互換性。

主要なシステムベンダーの例

日本国内でリース会計対応に実績のあるシステムベンダーとしては、「プロシップ」の固定資産管理システムが代表的です。その他にも、各社のERPパッケージ(SAPなど)や会計システム(SuperStream-NX、奉行シリーズなど)がリース会計機能を提供している場合があります。自社の規模、リース契約の特性、既存システムとの連携などを考慮し、最適なソリューションを選定することが重要です。

システム導入は、単にツールを導入するだけでなく、要件定義からベンダー選定、システム構築、テスト、運用開始まで、計画的なプロジェクトとして推進する必要があります。早期に着手し、十分な時間を確保することが成功の鍵となります。

まとめ

新リース会計基準は、原則としてすべてのリース契約を貸借対照表に計上する「オンバランス化」を求めるものであり、企業の財務状況をより正確に反映させることを目的としています。この変更は、従来のオペレーティングリース契約にも及び、企業の財務諸表、特に負債や資産の額に大きな影響を与えるため、経理担当者にとっては重要な経営課題となります。

適用時期はすでに迫っており、対象となる企業は早期からの準備が不可欠です。まずは、現状のリース契約を網羅的に洗い出し、新基準適用後の影響額を正確に把握することが最初のステップです。次に、リース関連の業務プロセスを見直し、必要に応じてプロシップなどの固定資産管理システムの導入を検討することで、効率的かつ正確な会計処理体制を構築することが求められます。

新リース会計基準への適切な対応は、単なる会計処理の変更に留まらず、企業の財務健全性や透明性を高め、投資家や金融機関からの評価向上にも繋がります。この変革期を乗り越え、企業の持続的な成長を支えるためにも、本記事で解説したポイントを踏まえ、計画的かつ着実な準備を進めていきましょう。

※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします

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詳細情報

〒102-0072 東京都千代田区飯田橋三丁目8番5号 住友不動産飯田橋駅前ビル 9F

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